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展覧会情報 ─ スペース・S

深い眠り
2011年 桑の木、黒鉛
66×47×27 cm

大平實の新作

今から3年前のことになるが、ロサンゼルス近郊、パサディナで制作を続ける大平實が「第36回中原悌二郎賞」を受賞したことは、いくらか驚きを伴って迎えられたと想像している。もちろん彼には、賞にふさわしいキャリアがあり、独自の造形意識によって個性的な作品を生み出してきたが、必ずしも発表の機会に恵まれず、知る人ぞ知るという存在だったから、その反応は致し方ないものであった。作家にとって幸運だったのは、同じ年に開催された「アーティスト・ファイル2009─現代の作家たち」展(国立新美術館)によってその存在が再認識され、これ以上望めないタイミングで選考が行われたことである。身の回りで拾い集めた材料による、大らかでユーモラスな造形、我が国では見かけないテイストの仕事が評価され、受賞につながったと思われる。

大平實の新作展に文章を寄せるため、事前に作品を確認して驚いた。大作の1点を除いて、全く違った作品が現れたからである。部分的には大平らしい形が残り、こなしや仕上げも従来に通ずるものがあるが、これまでの持ち味と違い、複雑な構造を持つ造形である。箱状の形をパズルのように組み合わせたもの、細長い木枠を無数に差し込んだ作品、自在な形の台座と有機的な形象の組み合わせ・・・・。私は、大平がこれまで、手の込んだ技法や複雑な表情を、単純な形体へ結びつけることに腐心しているように感じていたので、変貌に戸惑ったのである。しかし見方によっては、作家が嬉々として取り組んだ様子も窺える。彼はどのような気持ちで、大きく舵をきったのだろうか。

この新しい試みがどのように受け止められるかは、ご覧になられる方の判断を待たなければならないが、ベテラン作家にとって、今回の新作展が、後々語り継がれる展観になるという予感もある。そういう意味では、多くの人に目撃していただきたい展覧会である。また彼の仕事に親しむ機会となり、多くの知るところとなって、近い将来、我が国の立体表現の世界にしっかりと位置付けられることを期待している。

福永 治
国立新美術館 副館長

弱虫ドラゴン
2012年 割った廃材、楓の木によるフレーム、アメリカボダイ樹 67×120×33 cm
冒涜の町 #2
2012年 アラスカンイエロウシダー
204×75×70 cm
伝言
2011年 桑の木、様々な種類の木、黒鉛
86×45×17 cm
誕生への祈り
2012年
木、黒鉛、桑の木と鋳鉄(ベース)
64×31×20 cm
木霊 #1
2011年 木、黒鉛、鉄とオークの木(ベース)
61×22×20 cm
木霊 #2
2011年 木、黒鉛、鉄と石とオークの木(ベース)
53×28×17 cm
太陽と月 #1
2012年 和紙、テンペラ、黒鉛、銀箔
44×61 cm
太陽と月 #2
2012年 和紙、テンペラ、黒鉛、銀箔
46×56 cm
大平 實 おおひら みのる

    1950
  • 新潟県に生まれる
    1974
  • 新制作展新人賞
    1975
  • 金沢美術工芸大学彫刻科卒業
    1977
  • 東京芸術大学大学院彫刻科修了
    1979-81
  • メキシコ国立芸術院美術学校エスラメルダ校在学
    1986
  • ローサ・フェイテルソン財団賞
    1996
  • 北海道立旭川美術館賞
    1998
  • 第9回国際現代造形コンクール大阪トリエンナーレ1998 彫刻特別賞
    (羽曳野市賞)
    2001
  • 第10回国際現代造形コンクール大阪トリエンナーレ2001特別賞
    (そねちか賞)
    2009
  • 第36回中原悌二郎賞受賞
    2012
  • ポロック・クラズナー財団より助成

現在、カリフォルニア州パサディナ在住(アメリカ)

主な個展・グループ展
    1989
  • 個展、村松画廊、東京(92、01、09)
    1991
  • 個展、ノブギャラリー、愛知(93、95、97、99、01)
    1996-97
  • 木の造形 旭川大賞展 全国の作家25人による現代造形の競作
    北海道立旭川美術館
    1998
  • 大阪トリエンナーレ(01)
    2001
  • 個展、INAXギャラリー2、東京
    2002
  • 西海岸の風 ニイガタ─ロサンゼルス─ナゴヤ、新潟市美術館
    東日本─彫刻:39の造形美、東京ステーションギャラリー
    2005
  • 個展、伊勢現代美術館、三重県
    2007-08
  • 個展、ジャクソンビル現代美術館、フロリダ
    2009
  • アーティスト・ファイル 2009─現代の作家たち、国立新美術館、東京
    INSIGHT/INSIDE LA、ホセ・ドラディス- ビアダ大学美術画廊、マウント・セント・メアリー大学、ロサンゼルス
    2010
  • 身にまとうオブジェ展 PART 1、スペース・S、東京
    2011
  • 予期せぬ境界:現代美術の幽玄、カービン・モリス・ギャラリー、ニューヨーク


おもなパブリック・コレクション
中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館
北海道立旭川美術館
新潟市美術館
原美術館(東京)
大原美術館(岡山)
伊勢現代美術館(三重)
金沢市大乗寺丘陵総合公園
ロサンゼルス・カウンティー美術館(アメリカ)
シルバコーン大学(バンコク)
タイ国立美術館(バンコク)
メキシコ国立美術館(メキシコシティ)
ビクトリアン美術大学(オーストラリア)
台北美術館(台湾)
ホノルル美術アカデミー(ハワイ)
ロングビーチ美術館(カリフォルニア)

作家公式サイト