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スペース・S

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時のかたち

「かたち」に還元され得ない何か。
井田勝己の作品は、常にその「何か」を語ろうとしている。

船の上に刻まれた廃墟、臼の内部へ降りてゆく階段、当てもなく伸びる梯子、どこにも掛からない橋、麦の穂に浮かぶ船・・・。

これまで井田がモチーフにしてきたものは、空間的に、そして時間的に何かをつなぐもの、あるいはその関係性の象徴であるように思う。

橋が架かることで全体として初めて見えてくる「ここ」と「そこ」。「麦」や「船」に象徴される持続(=記憶)としての「過去」と「未来」。

「ここ」も「そこ」も、「過去」も「未来」も、すべては「いま・ここ」に媒介される関係性の内にはじめて立ち現れるものではないか。この「いま・ここ」の無次元的な働きそのものを語ることは果たして可能であるか。

井田勝己の作品が語ろうとするのは、まさにこの「いま・ここ」であるように思えてならない。語ることがほとんど不可能な、この無次元的な働きそのものであるように思えてならない。

野中 明(長崎県美術館学芸員)

時の記憶 2006年 紙、木、真鍮、花崗岩(黒御影石) 118x130.5x100 cm
上左/時の神殿 2006
2006年 花崗岩、鉄 95x134x64 cm

上右/沈黙の時
2006年 黒陶 1.5x17x20 cm

左/時の記憶
2006年 紙、木炭 77x57 cm

井田 勝己 いだかつみ
Profile
1956
鳥取県に生まれる
1981
東京造形大学卒業
1992
兵庫教育大学大学院修士課程修了
1995
第16回現代日本彫刻展 大賞[宇部市賞]受賞
下関市立美術館[植木茂記念]賞受賞(宇部市)
1996
エネルギア美術賞受賞
1997
第17回現代日本彫刻展 神奈川県立近代美術館賞受賞
1998
第15回神戸須磨離宮公園現代彫刻展 
京都国立近代美術館賞受賞・三重県立美術館賞受賞
1999
第18回現代日本彫刻展 神戸須磨離宮公園賞受賞
2000
第31回中原悌二郎賞優秀賞受賞
長野県短期大学助教授(2005まで)
2003-04
文化庁在外研修員(ハーバード大学客員研究員)
2005
東京造形大学彫刻専攻助教授